あのG-SHOCKが、また出荷数を過去最高に更新しました。2016年は、前年度50万台以上上回る、850万個を記録したそうです。中国で「ゴリラが時計をたたきつけても壊れない」というインターネットCMを流すなど販売を強化。中国と東南アジアの10代後半から20代の男性向けに、売れ行きが好調だったとのことです。

2度目のブームを迎えるG-SHOCK

1983-DW-5000C
出典:カシオ

G-SHOCKは、1983年に発売を開始した腕時計です。「タフネス」をキーワードに、落としても壊れない時計を作るという使命のなか、当時の常識を覆す時計を作りました。当時開発に関わったのは、20代の社員は3人だけだったと言われています。

初期のモデルは、DW-5000C、全体をウレタンでカバーし、心臓部は点で支える中空構造を採用していました。いまでもレアもので高価な価格で取引されています。

発売後、アメリカに輸出され、アイスホッケーのパック代わりに使われるCMで丈夫な時計として紹介されたことで、アメリカで火が付きます。

1997年に、西海岸のスケーターたちが愛用したことから、ブームが到来、年間600万個を売り上げました。

その後2001年には、過去の売上の1/3まで落ちでしまいます。ファッション性優先で展開したのが敗因だったとか

そこで原点の「タフネス」に回帰します。すると2013年頃から続くブームが再来します。2013年に650万個、2014年は730万個、2015年には800万個と過去最高出荷を更新します。さらに2016年は、前年度50万台以上上回る、850万個を記録したそうです。

G-SHOCKが人気の秘密は

G-SHOCKの魅力の1つに「種類の豊富さ」が上げられます。バリエーションが多く、色、形、大きさが様々で、他人とかぶることがありません。デジタルオンリーに、アナログシリーズと選択肢も様々です。

次に挙げられるのが、その多機能性、防水は当然、方角がわかったり、とにかくいろいろ付いてます。

さらに上げられるのが、丈夫さ。G-SHOCKですから当然ですよね。落としても大丈夫。ゾウが踏んでも大丈夫?とにかく頑丈です。

実際、プロ仕様だからこそ、安心してつかえる点があります。一般のサラリーマンにとってはオーバースペックであったとしても、消防士や警察官、軍関係者、建設現場で働く人たちなどは、こぞって、G-SHOCKを選びます。

このようなプロを満足させる世界観が、若い男性の心をつかんで離さないようです。

最近人気のG-SHOCKのシリーズは?

1990年当時のブームのときは、1万5000円くらいが売れ筋だったそうですが、最近の売れ筋は、5万円前後と、大人価格なものが人気だそうです。

なかでも、人気なのは、「MASTER OF G」シリーズとよばれる、5万~10万円のアナログタイプのラインナップが売れ筋で、過去の売上の2倍に伸びてるそうです。

アナログタイプは、「タフネス」さをさらに「陸、海、空」の3つにわけて追求し、実際のレスキュー隊やイギリス海軍といった人たちに、彼らの求めるスペックをヒアリングして開発されているだけあって、マニア心をくすぐります。

例えば、「陸」モデルは、ジャングルや災害救助、土砂やがれきが積もる場所を想定し、徹底した、防塵仕様となっており、さらに、方位、気温、気圧、高度などが確認できるセンサーを搭載しています。

「海」は、潮の満ち引きがわかる機能を加え、「空」は航空機内での使用を想定し、遠心力、衝撃、振動に耐えられる構造を実現、2都市の時刻を同時表示する機能や、世界6局の標準電波と、GPS衛星電波を両方受信してどこにいても正確な時間表示を実現しています。

なかには、いままでのG-SHOCKにはなかった、メタルバンドの製品「MTG-G1000D」も人気の商品のひとつ、スーツに似合うG-SHOCKとして、16万円と高価ながら、売れ行きは好調だそうです。この製品、山形の工場でほぼ手作業で製造されているそうです。

G-SHOCKとはなにか

高機能・高価格の大人向け商品を強化する一方で、「タフネス」に原点回帰し、若者にその意味を伝えるイベント「ショックザワールド」を地道に展開。重要なファン作りをおこなっているそうです。

「タフネス」を進化させていく、それに「面白いかどうか」という視点も大切にすると、カシオの開発者は述べています。

G-SHOCKとはなにか、その答えを模索することこそ、G-SHOCKをこれからも続くブランドにしていくことなのでしょう。